『自然栽培ひとすじに』 木村秋則著 創森社
木村さんのことはNHKプロフェッショナルで初めて知りました。無農薬、無肥料でリンゴを栽培した青森は岩木の人で、そのリンゴは”奇跡のリンゴ”と呼ばれています。
TVで見た木村さんは前歯が抜けた笑顔が印象的でした。この本によると、その前歯は、生活費を稼ぐためにキャバレーのぽん引きをやっている時に何やらの抗争に巻き込まれて折れてしまい、その後お金がないのでそのままにした、とのこと。生き方が底抜けていて楽しいですね。
脱線します。
この本を読む前に友人の薦めで『ブナ林の自然誌』という本を読みましたが、そこでブナ林の成立に菌類の働きが重要であることを知りました。根に付く外生菌根菌と樹木との関係は真の意味で”共生関係”にあり、外生菌根菌がなければ、森は森として成立しなかったとのこと。また、”森林全体が菌糸で結ばれた大きな有機体”という見方もできることを知りました。
戻ります。
木村さんの試みは、精神論などで説明できるものではなく、農薬や強度の被圧によって失われた土壌中の微生物(特に菌類)の生息環境を復元する、という科学的なものでした。また施肥はしないが、その代わりに大豆を育てて窒素分を供給しています。その際に重要なことは、過剰な供給はしない、ということでした。なぜ過剰な供給をしないのか?、どのようにして適量を把握するのか?などについて詳しく書かれています。やっていることはものすごく単純ですが、納得ができるものでした。
ということで、ぜひ、木村さんのリンゴを食べてみたいものです。半分に切って放置しても腐らないという、奇跡のリンゴを…。