『おろしあ国酔夢譚』(井上靖著)

井上靖って最近の若い人は読んでへんのとちゃうかな。自分の場合は中学生の時に初めて図書館で借りて読んだ本が井上靖の『夏草冬濤』やった。今から考えると、かなり渋めのセレクトやったけど、あれからしばらく井上靖を読んでた記憶がある。

おろしあ国酔夢譚

久しぶりに井上靖を手に取ったきっかけは、北海道新聞の連載記事(2015年3月14日〜5月30日)・『日ロの架け橋 大黒屋光太夫』(文・相原秀起、写真・藤井泰生)を読んで、いくつかの縁を感じたこと。

一つ目の縁は、相原記者。実はしばらく記者の家を借りて住んでいた。記者がロシア駐在から帰国するのにあわせて賃貸契約が解除されて、今の家に移った経緯があった。その節はお世話になりました。…と言っても、もちろん面識なし。

もう一つの縁は、大黒屋光太夫が自分の郷里・三重県の人だったこと。さらに知人がカムチャツカ半島〜ロシアを研究対象にしていて、海を隔てた大国を身近に感じていること。

内容は、読んでみてください、って、またかい!

掻い摘まんで話すと、江戸時代のこと、大黒屋光太夫ほか15名を載せた回船・神昌丸が遠州沖で遭難して、太平洋を8ヶ月間漂流、アリューシャン列島の小島にたどり着いてから帰国するまでの10年間が描かれている(…と、ざっくりとまとめすぎか!)。船頭の大黒屋光太夫はじめ船員の運命も興味深いものだったが、それ以上に印象に残ったのは、彼らの帰国をサポートし続けた博物学者・キリル・ラクスマンのこと。

何と言って良いのか…、ラクスマンの記述を読んで思い浮かべるのは「タイムマシーン」。現代の人間が過去にタイムスリップしたんじゃないのか?彼は植物や鉱物、地質学を専門とする博物学者なのだが、厳冬期の長距離移動をいとわないタフガイで、時代の制約から絶妙な距離をとる精神の自由さが感じられる。

このような人は、いつの時代でも、どこの場所でも、きっとあまり変わらへんのやないか、そう思えてならない。例えば、A・R・ウォーレス、B・ハインリッチ。Time&Spaceに左右されない生き方。どのような時代に生まれても、どこにいても、同じようなことをやっていられる人。
プロフィール

桃姫の飼い主

Author:桃姫の飼い主
南極大陸を横断したグリーンランドハスキー犬『キンタ』を曾祖父に持つ由緒正しい駄犬『桃姫』とその飼い主が綴る、北の空の観天”呑気”

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宣言:「私は原子力を利用しない世界を求めます」

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