『北方植生の生態学』(沖津進著、古今書院)

この本を読むのは二度目。
一度目は理解できなかったところも、何となく分かってきた気がする(気がするだけ)。問題意識をもって読むか読まぬかで、理解度も変わってくるのでしょう。

北海道の植生を理解するには、より北方の植生を理解する必要がある、と言われる。狭い日本列島ではあるけれど、空間的にみると広く極東ロシアや北東アジアと深い関連性があり、時間的に見ると少なくとも最終氷期の数万あるいは数十万年におよぶ歴史的な変遷の上に成り立っているからである。

この本の一番の特徴は、著者自らが北海道および北方、すなわちシホテーアリニ山脈やサハリン、カムチャツカ半島、北千島等に出向き、野帳とメジャー等のローテクノロジーを駆使して集めたデータに基づいて論じている点にあると思う。

北海道の針広混交林、ダケカンバ林、ハイマツ帯が何故、今、ここにあるのか?
その理由が、北方のチョウセンゴヨウ-モンゴリナラ林やグイマツ-ハイマツ林、ダケカンバ林、低木性ヒースなどとの関連性で位置づけられていくのを読んで、頭がすっきりしていくのを感じた。

当方はかつて、著者の沖津さんと同じ屋根の下で暮らしていたことがある。いや、下宿が同じだったというだけの話だが…。記憶によると、私が下宿に入った頃は、沖津さんは既に博士課程に在籍されており、バリバリのフィールドワーカーという感じで、何事も逆らえないような怖〜い先輩だった。下宿で姿をお見かけすることは少なく、シーズン中はほとんど山=大雪山に出かけられていたんじゃないかな。

この本は、興味がある分野なので面白かったのは当然だが、それだけではなく、著者を幾分なりとも知っている点で他書と異なり、また一人の人間がなし得ることの大きさを感じるられる点で、刺激を受ける著書となった。

最後にエピソードを一つ。あるとき、食堂で一緒に見ていたTVニュースが山口百恵の引退を報じたとき、ぽつりと漏らした一言、「山口百恵が引退しても世の中が変わるわけじゃなし…」が印象に残っている。沖津さんの部屋のドアには山口百恵の大きなポスターが飾られていたから…。

この記事がご本人の目に留まりませんように!!(合掌)


北方植生の生態学北方植生の生態学
(2002/12)
沖津 進

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桃姫の飼い主

Author:桃姫の飼い主
南極大陸を横断したグリーンランドハスキー犬『キンタ』を曾祖父に持つ由緒正しい駄犬『桃姫』とその飼い主が綴る、北の空の観天”呑気”

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宣言:「私は原子力を利用しない世界を求めます」

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