『解剖男』(遠藤秀紀著、講談社現代新書)

解剖学者・遠藤氏の『遺体科学』の入門書。遺体とは動物の死体のことである。

『遺体科学」とはどんなことを示すのか?それは、
遺体が包み隠す科学的事実を解き明かし、知を遺体とともに後世に受け継ぐため
の学問、と理解できる。

本書では、解剖学の面白さや意義が、「硬い遺体」(つまり骨)と「軟らかい遺
体」(つまり内蔵)に分けて語られる。以下、興味深かったことを列挙する。

キリンには前歯がない
 何の仲間か?シカ科、ウシ科に近縁。シカ、ウシにも前歯なし。
 となりのトトロにヤギが出てくるが、前歯があるの観察不足。
・歯は骨ではない。歯は生活(適応)をよくあらわす。
 ライオンの歯、イノシシの歯、シカの歯が出てくる。
・ほ乳類の頸椎(背骨の首の部分)は一部例外を除き、数は7本。系統を示す。
・アリクイ、ナマケモノ、アルマジロは南米に生息するほ乳類
 腰椎(背骨の腰の部分)に特徴的な突起があり、「異節類」と呼ばれる。系統を示す。
・尾椎(背骨の尾の部分)は系統を引きずらない
・ウマは前肢も後肢も中指一本で立っている
・社会や文化が自然への畏怖をどう形に変えているか、という問題は人文科学の
 研究テーマとして面白い
鯨類は偶蹄類に近縁!
・アザラシは水中を泳ぐためか、防寒のために長い体毛を備えることはない

遠藤氏は「闘う解剖学者」として著名とのこと。
本書でも、それ(=闘うという意味)がよく分かる。
特に解剖学を軽視している最近の農学(特に獣医学・畜産学)への批判は辛辣で、
普段からこの調子なら、さぞかし敵もたくさんおられるんだろうな、という印象。
そしておそらく、氏はそんなこと、へっちゃらに生きておられるんだろうな、
ということも想像に難くない。

生き物が好きな若い人(特に中高生)にオススメする。
プロフィール

桃姫の飼い主

Author:桃姫の飼い主
南極大陸を横断したグリーンランドハスキー犬『キンタ』を曾祖父に持つ由緒正しい駄犬『桃姫』とその飼い主が綴る、北の空の観天”呑気”

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宣言:「私は原子力を利用しない世界を求めます」

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