本の下線
本にやたらと線を引く人がいるが、私はめったに引かない。なぜなら読んだ本を売るから。下線を引いてしまった本は価格を下げざるを得ないので。
それでも容赦なく下線を引く本も、稀にはある。つまり、その本は売るつもりがないということ。死ぬまで側に置いておくつもりの本。
本の下線で思い出すのは大学時代の恩師のこと。学校の本にもかかわらず鉛筆で線を引っ張っておられた。まあ、先生が専門とされていた分野の本を読む人は、教室にはほとんどいなかったのだが、たまには私のような変わり種が現れ、下線に気がつくこともあった。
ただ私は、それらの下線に嫌な感じを持ったことはなかった。むしろそれは、ホワイトアウトした雪山に残された先行者の足跡のごとく、不思議な安堵感すら感じた。

*『明解 基礎英語』(牧雅夫著)P34から
それでも容赦なく下線を引く本も、稀にはある。つまり、その本は売るつもりがないということ。死ぬまで側に置いておくつもりの本。
本の下線で思い出すのは大学時代の恩師のこと。学校の本にもかかわらず鉛筆で線を引っ張っておられた。まあ、先生が専門とされていた分野の本を読む人は、教室にはほとんどいなかったのだが、たまには私のような変わり種が現れ、下線に気がつくこともあった。
ただ私は、それらの下線に嫌な感じを持ったことはなかった。むしろそれは、ホワイトアウトした雪山に残された先行者の足跡のごとく、不思議な安堵感すら感じた。

*『明解 基礎英語』(牧雅夫著)P34から