漠然と虫は捕れない

この当たり前のことに気がつくのに、どれだけの時間が必要だったのか、呆れてしまう。生き物のニッチを知ることが、こんなにも劇的に、その生き物に出会うチャンスを作り出すものなのか。そのことに本当の意味で気づき始めているのかもしれない。一挙に世界が広がってきた感じ。

例えば糞虫=食糞性コガネムシ。

【先ずは北海道でどれだけの糞虫が確認されてる?】(『知床の昆虫』から)

 コブスジコガネ科(鳥の羽を食う連中ね):7種
 ニセマグソコガネ科(様々な環境に適応):5種
 マグソコガネ科(馬糞黄金ね、主に家畜や野生獣の糞):27種
 センチコガネ科:3種(北海道のセンチコガネは飛ぶ能力を失っている)
 ダイコクコガネ科(カッコイイ糞虫):12種

以上を分かった上で、フィールドに出るとしますか。勿論、闇雲にではなく。例えば、

・羽根を食う奴を探すには、先ずは鳥の死骸や鳥の巣を探さなくては!アオサギのコロニーが狙い目だと思うが、林に潜入するのは結構勇気がいりそうだなあ。繁殖期が終わってからにする?

・海岸のニッチを理解したい。汀線〜大潮の汀線〜海浜植生〜海浜植生の中の裸地。根際や砂の中。篩が必要かも。ゴミムシダマシも一緒に探そう。それから漂着している海藻や魚、鳥の亡骸の下を探してみよう!その前に亡骸を探すのが先。

・犬の糞、牛の糞、薬を使っていない牛の糞、馬の糞、シカの糞、ヒグマの糞、タヌキの溜め糞…。キツネの糞はエキノコックスが恐ろしいのでパスしようかな。糞の中、下、さらに地面の下、えっ、どれくらい掘る必要があるのん??

・朽ち木の中や剥がれかかった樹皮の内側。ターゲットの大きさはどれくらいだろうか?夜の灯火に好んでやってくる種類はいるのだろうか?

こんな風に、それぞれの種やグループが好む餌や環境、活動時刻を理解した上で、ターゲットを絞ってトライしたい。それを続ければ何か新しい事実が見つかるかも。それ以上にニッチの意味を体感できたら素晴らしいと思う。

糞虫のことは塚本桂一さんの書籍で勉強させていただいているが、たくさんあって迷うかも(写真参照)。どれかひとつ、ということであれば、私は『ふんコロ昆虫記』をオススメしたい。その理由は、網羅的であること、体系的であること、科学的であること、その割には肩肘張っていないこと、写真が豊富であること、教育的であること、入門的であること、などなど。採集方法や標本整理のことまで一通り分かる仕組みになっている。糞虫に関しては、費用対効果抜群!の本だと思います。

それから、北海道の糞虫のことを手っ取り早く知りたい向きには『しれとこライブラリー5 知床の昆虫』がオススメ。この本は、糞虫は勿論のこと、主要な分類群について、その道の専門家が分担して、丁寧かつ興味深い解説をされている。さらに知床を語りながら、実は北海道の昆虫の入門書にもなっているという優れものです。以上、ご参考まで。

でも、まだ冬でっせ、と突っ込まれるかも(笑)。

塚本本案内_20170222 

京都の昆虫

昨年、京都に行ってから、京都の昆虫が気になっている。それで、関連する本を読み漁っているのだが、最近、特に面白かったのがこちら=塚本珪一著・『フンコロガシ先生の京都昆虫記』。
フンコロガシ

塚本さんの本はこれまでも結構読んできた。『日本列島フン虫記』、『日本糞虫記―フン虫からみた列島の自然』などなど。氏は一時、オホーツク方面に居られたはずだが、この本を読んで生粋の京都人と知って驚く。しかも学問的には今西錦司氏の流れをくんでおられる!

この本を読んで分かったことがある。京都のナチュラリストにとって北山は聖地である、ということ。鞍馬山、貴船、芹生、芦生、音羽川、比叡山、大原と歩いて、丹波、比良山系へと踏破してみたい!もちろん虫を捕りながら。

これは昨年の夏に大原寂光院への道すがら拾ったオオセンチコガネ。展足が今ひとつですね~。写真は新しく導入したOlympus TG-4の深度合成モードにて撮影。その解像度に驚くが、まだ使いこなせていない。
オオセンチコガネ_20160807_京都大原

オオセンチコガネはその美しい構造色で知られるが、色合いは地域によって異なる。京都でも北と南では異なり、北の色合いは写真の通り、やや緑がかった赤銅色。南(伏見区~宇治市以南)はもっと緑色が強い。

塚本さんは仲間とともに日本中のオオセンチコガネの色彩図鑑を編纂されたが、個人的にはこの京都北方の色合いが最高だと思っているらしい(笑)。
日本のオオセンチコガネ

大原を歩いていて感じたことは、大都市が近いのにずいぶん虫が多いな、ということ。北海道とは生命の密度が違っている印象。生き物に満ちている、魅力一杯の場所だ。
高野川上流夏_20160806

ハバチは草食系?それとも…

ハバチとは名の通りハチの仲間で、ハチ目を二分する広腰亜目と細腰亜目の内、前者に属する。
幼虫はベジタリアンなのだが、親はご覧の通りのモロ肉食系(汗)。ごっつあんです、ってレベル。

ハバチ_20161219

ハバチを同定するための基本文献は3つあって、

先ずは『絵解きで調べる昆虫』(日本環境動物昆虫学会編)で属レベルまで検索して、ついで『兵庫県におけるハバチ類の種多様性』(兵庫県人と自然の博物館)もしくは、『大阪府のハバチ・キバチ類』(西日本ハチ研究会)で該当種の有無を調べる、という流れ。+『新訂原色昆虫大図鑑Ⅲ』を追加。

ハバチは北方系の昆虫類だという。その割には、種にたどり着くために参照できる文献は(一般人には)主に関西系に限られているのが現状。誰か北海道地方のハバチの検索表&図鑑をまとめてくれないかなあ〜(T_T)…というか、北海道を対象にしてハバチを研究している人って、居るのかしら??

→ 林業系の害虫として研究されている部署はあるようです。
→ 北海道環境データベースで公開されているリストには和名も確定していない種が沢山掲載されている。つまり、北海道産のハバチをしっかりと調べている人は居る、ということ。そこまでたどり着けるか??

トラップの回収

一昨日の14日に管住性ハチ類トラップの残り二カ所の回収を行った。
久しぶりに天候が回復。

この場所は広葉樹林と耕作放棄地がセットになっていて、フクロウの生息が期待できそう。
音声調査をしてみたい環境。
sky_20161114.jpg

仕掛けたトラップを時々覗く。しめしめ泥で塗り固められている!
トラップは無事回収できた。後は竹を割って中身の観察しなければ。
trap_20161114.jpg

竹筒トラップの中身

昨日回収してきた竹筒トラップの中身を確認することにする。試しに内径が一番小さい竹筒トラップ(4mm程度)を割ってみたところ、10本中2本にハチ類の営巣を確認した。例えば、こんな感じ。
TN-2016-002-1.jpg

仕切り材は木材の屑が使われているように見える。さらに入口側(右側)の2室にはクモの足(葉っぱのように見えるのがソレ)が残されていた↓。このように種によって「仕切り材」や「幼虫の餌種」が異なり、それによって大凡の種類が分かる。本種はどうやらドロバチ科の一種らしい。
TN-2016-002-2.jpg

試しに繭を破って中身を確認してみたところ、前蛹が入っていた。ノソノソと動く。生きている。
TN-2016-001-1.jpg

全ての繭を9ccのガラス瓶に入れ、脱脂綿で蓋をした。こんなんでいいのかどうか?、とても不安だが、来春に羽化するのを待つことにする。
TN-2016-001-2.jpg
プロフィール

桃姫の飼い主

Author:桃姫の飼い主
南極大陸を横断したグリーンランドハスキー犬『キンタ』を曾祖父に持つ由緒正しい駄犬『桃姫』とその飼い主が綴る、北の空の観天”呑気”

なお、ブログ中の拙い写真・絵画イラスト・文章等の著作権は放棄しておりませんのでご留意ください。

宣言:「私は原子力を利用しない世界を求めます」

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